矯正歯科治療とむし歯

今日は、矯正歯科治療とむし歯についてお話したいと思います。

矯正歯科医は、歯科の中でも「矯正以外のことは何も知らない。」と言われる歯科の先生もいらっしゃるようですが、それはお互い様で、歯科の先生は矯正歯科のことを、ご自分の専門レベルではご存じなくて当然です。

また別の項でも触れたいと思いますが、私自身の経歴として、

○福井赤十字病院歯科口腔外科で歯科医師卒後研修指導医

として、歯科医師の先生方と接しています。また、

○大垣女子短期大学歯科衛生科で助教授

として教鞭をとっていました。ここでは、「歯科予防処置」、「保健指導」もチーフとして他の教員の先生方とともに担当していました。とりあえず、「矯正歯科」以外の分野も教えるレベルの知識は持ち合わせているつもりです。

むし歯についても、無関心ではありませんし、乳歯の時期から通院して頂いている方々のほとんどがむし歯が1本もありません。むし歯がない状態で、矯正治療を卒業される方がほとんどです。

むし歯はひとことでいうと、

「歯のカルシウム貯金残高がなくなり、元に戻らなくなった状態」

です。ということは、一時的なカルシウム残高がマイナスでも頑張ってプラスにすれば問題ないということになります。言い換えると、「初期のむし歯は、治癒する可能性がある。」ということです。

この可能性があるときに、探針(たんしんー先の尖った歯科用器具)などの歯科器具でこの部分を触ると一気にむし歯が進行する可能性があります。

以前私が学生の頃は、むし歯の進行度を表す方法として、C1~C4という記号を用い、C1とC2の鑑別はこの探針がひっかかればC2と判断していました。

ところが、この探針が初期のむし歯を刺激することにより、よりむし歯が進行してしまう可能性があることから、探針を使用する歯科的な診査は慎重に行うことが望ましいとされています。

整理しますと、

①むし歯は、歯のカルシウムの結晶が壊れて元に戻らなくなった現象です。

②この結晶は、「カルシウム」+「リン酸基」+「水酸基」の組み合わせでできています。

③「水酸基」の周辺に酸が存在すると、「水酸基」が結晶から離れて酸と結合しようとします。結晶が崩れます。これが、むし歯の始まりです。

④この酸は、ミュータンスストレプトコッキーと呼ばれる8種類の細菌が糖を代謝して産生されるもの、時としてワインや酢の物などの食物由来であることも考えられます。

これらのむし歯ができやすい環境をいかに無くすかが、むし歯を防ぐ方法となります。これは、医療者側だけがいくら頑張っても限界があります。

日々のお手入れ勝るものはありません。ズバリ、歯磨きをはじめとする口腔ケアです。情報提供はしますが、最終的にはむし歯予防への協力度がすべてです。

実際の予防法など、後半へと続けたいと思います。

投稿日:2016年10月5日 (Comment : 0)
カテゴリ-すべて,矯正歯科(歯科矯正学)

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