矯正歯科治療とむし歯 その4
歯医者さんから、「矯正をするとむし歯になるから、やらないほうが良いと言われました。」 という話を、時々聞きます。こうおっしゃった歯医者さんはもちろん何等かの思いがあってのことでしょうから、言い合いはしたくありません。
私ども入江クリニックでは、可撤式装置を多用することもあるのでしょうが、感覚的にはむし歯になる方は非常に少ないように思います。ブラケットを装着した状態で、ご懐妊、ご出産された方々でむし歯になった方は記憶にありません。
妊娠中は、ブラケットがなくてもむし歯のリスクは高まるといわれていますが・・・、ブラケット装着のままでも問題となった経験がありません。
とはいうものの、矯正治療中の特に10代の方は、時々1ヶ月の間にむし歯が急速に拡がってしまうことを経験することがあります。
ある時期から、急に歯が全体的に白っぽくなる・・・、つまり脱灰(だっかい)歯のカルシウム貯金が「風前の灯」状態が見られるようになります。
ここで、エナメル質にさらなる刺激が加わると大げさな表現ですが、「爆発的に」むし歯が拡がることがあります。また悩ましいことですが、このような状態の方はなぜか同じ会話内容になります。
○「1日3回きちんと歯みがきは欠かしていないのですが」
○おうちの方が、「ちゃんと歯みがきするように言っているのですが・・・。」
どこか、他人事です。 いくら歯みがきをしても、むし歯になります!(決して、歯みがきを否定しているわけではありません) むし歯抵抗性を超える環境がお口の中で続くと、むし歯になります。 いくら歯みがきをしても、「歯のカルシウム貯金残高」が減る環境が反復・持続するとむし歯になる可能性が極めて高くなります。
- ○糖分の入ったペットボトル飲料を、ちびちび飲み していませんか
- ○500ml紙パック入りコーヒー牛乳をストローを使って飲んでしませんか(一緒にパンをを食べるとむし歯のリスクMaxです)
- ○疲れて帰宅し、寝落ちすることがありませんか
- ○酢の物・マリネ・南蛮漬けなど、すっぱいものを良く食べませんか
- ○部活等をがんばって、スポーツドリンクを飲みながら日々練習していませんか
*具体的に、コーラ、キレートレモンなどはpHが低い(酸性度が高い)という意味では、むし歯抵抗性を低下させるものといえます。私も好きですが・・・。
これら(pH5.5以下の環境が長い)に心当たりのある方は、むし歯になるリスクが非常に高いと思ってください。中学生・高校生の時期にこの習慣が少しでも続くと「あっ!」というまに、むし歯が進行することがあります。
そして「歯医者」さんに行くと、「何でこんなになるまで放置しておいたのだ!」と強い口調で患者様は言われる訳でして・・・、結果矯正の先生がわからずに放置していた?と思われてしまうケースも残念ながらあります。
徴候が見られる時に、必ず私どもクリニック側で「もう少しお手入れにお気遣いくださいませ」とお伝えして、歯ブラシの当て方の確認やエアフローという歯面清掃装置を使用してきれいな状態を認識して頂くようにしています。 このエアフローできれいにした際に、歯肉から結構出血(歯肉炎ー全く痛くはありません)することが多く、少し大変な状態であることをお伝えするようにしています。
それでも、なかなか改善が見られない方も残念ながら少数派ですがいらっしゃいます。このような意味では、生活習慣病の側面も否定できないと思います。
投稿日:2016年10月12日 (Comment : 0)カテゴリ-おとなの矯正(長期出張、ブライダル etc.),中学生の矯正,医療・介護関係者の方へ,大学生の矯正(就職活動に向けて),子どもの矯正(3歳~就学前),子どもの矯正(小学校中学年),子どもの矯正(小学校低学年),子どもの矯正(小学校高学年),矯正歯科(歯科矯正学),高校生の矯正
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