■顎関節症
◇顎関節症:下顎骨(かがくこつ)と側頭骨(そくとうこつ)の間にある左右一対の関節と関連する組織の症状の総称です。私たちは顎関節のおかげで、顎を前後左右自由に動かすことが可能となり、これほど自由自在に動く関節は他の部位では見当たりません。

□最近良く聞く「顎関節症」、実際には顎関節そのものに異常があることは少なく、むしろ周囲の筋肉やそれらを支配する神経系からの症状が多いようです。「顎内症」とも呼ばれるただひとつ共通していることは、大部分の原因が咬合(かみ合わせ)や咀嚼(食事をする)時の顎の運動パターンの乱れによって起きることです。20代から30代の女性により多く見られますが、最近では10代前半でも見られるようになって来ました。他科で異常なしとされた頭痛の中にはかみ合わせが原因であることもしばしば経験するところです。

□症状は?
1.口があけにくい
普通サイズのハンバーガーやサンドイッチが難なく食べれば問題はありません。硬いものを食べたりなど何かのきっかけで口が開かなくなることも多いのですが、破傷風など生命にかかわる病気の兆候であることもあるので注意が必要です。
2.顎が痛い
口を開閉するときに痛みを感じたり、何もしなくても数日間鈍痛が続いたりします。関節痛、筋肉痛、血管痛や神経痛との区別が重要となります。
3.関節部から音がする
口の開閉時にポキポキなどと音がする、この原因は関節部にあるクッションの役目をする関節円板がずれる様に動くときの音です。この音がするだけの段階で積極的治療は必要ありませんが、かみ合わせの診査をしておいたほうが良いでしょう。
4.頭痛、首筋の痛み
整形外科や脳神経外科など他科で異常の認められない頭痛や首筋の痛みも広い意味での「顎関節症」の症状となりえます。
*すべての病気の原因をかみ合わせに求めるには無理があります。かみ合わせとの関連の診査が重要です。

□治療方法
まず、顎や歯の位置を客観的に診査するX線写真、顎関節断層X線写真、聴力計、筋電計などを用い痛みのある部位と原因の特定からはじめます。それぞれの原因に応じて、薬物療法(飲み薬)、マウスピース療法、光線療法や矯正歯科治療を行います。かみ合わせに関しては、矯正歯科医を受診し、必要に応じて歯科系他科を紹介してもらうと良いでしょう。