永久歯が生えはじめる年長さんから小学校2年生くらいまでの間に一度受診されることをおすすめします。

早い時期から始めると、

〇よりシンプルな装置での治療が可能 ⇒ 目立たず虫歯の心配もない
〇原因からの治療が可能 ⇒ 舌の癖など発音・発語を視野に入れた根治療法が簡単に
〇顎の骨の形まで良い方向へ導くことが可能 ⇒ 永久歯抜歯の確率が格段に減る
〇場合によっては費用も少なくてすむ
など患者様にとっての利点が多く、乳歯を少しずつ削ってゆくだけで装置を使用することなく治る例もあります。

受け口の場合

いわゆる受け口は、普通に奥歯でしっかり噛んだ時に上の前歯より下の前歯のほうが前に
ある状態で、「反対咬合」もしくは「下顎前突症」として検診などで指摘されます。
原因として、遺伝的要素は無視できません。人種的にも、いわゆる黄色人種の方が受け口の頻度が
高いことが指摘されています。舌の癖や悪い姿勢やある種のホルモンの分泌異常も原因となります。
この受け口は、歯の生える位置の不正など歯並びだけの問題である(歯槽性-しそうせい)場合と、
顎・顔面を構成する骨を含めた問題(骨格性-こっかくせい)に分けることができます。
歯槽性の受け口も放置すると骨格性へと移行し時として成人後外科手術が必要となることもあります。
受け口を治療しない場合、容姿の問題の他にも、舌の運動パターンが変化し食べこぼしが多い、
受け口特有のしゃべり方(発音)になるなどの問題が出てきます。
親御さんがかわいいと思いがちな舌足らずの幼児語が実は受け口をはじめとする不正咬合のサインで
ある場合もあります。また将来、不幸にして歯を失った場合も受け口だった方の入れ歯は、正常だっ
た方に比べ歯科医が苦労することが多いように思います。

治療の時期は、歯科の診療台に普通に座れるようになる3歳を過ぎた頃に一度受診されると安心です。
この時期にいきなり矯正装置をお口の中に入れることは殆どありません。この時期、姿勢の改善や乳歯の
先端を痛みのない範囲で削るなどの処置が中心となります。受診するのは、矯正歯科専任の先生がいらっ
しゃるところにかかられると良いでしょう。「永久歯が生えそろうまで、待てば良い」という考え方は受け口には
当てはまらないことが多い(歯槽性から骨格性に移行してしまう)ので、積極的に低年齢から診察して下さる
先生にかかることをお勧めします。