矯正歯科治療の料金ー安い?高い?

今日はある意味タブー的な矯正の診療報酬について、触れてみたいと思います。
「矯正に保険はきかないのですか?」というご質問も受けることがあります。
少しお堅い話にお付き合いください。
健康保険法の中の療養担当規則第21条では、下記のように決められています。
(歯科診療の具体的方針)
第二十一条  歯科医師である保険医の診療の具体的方針は、第十二条から第十九条の三までの規定によるほか、次に掲げるところによるものとする。

 診察
・・・中略・・・
 歯科矯正 歯科矯正は、療養の給付の対象として行つてはならない。ただし、別に厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
つまり、通常の矯正歯科治療では、法律として健康保険の適用ができないことになっています。
時折、「こどもの矯正を保険でやってくれた」という話を小耳にはさみますが、法律上あり得ない話です。
他の歯科治療のように、保険適用と自由診療による治療が選択できるのとは全く異なります。矯正歯科医が意図的に自由診療に誘導しているのではありません。
時として、保険で治療をやってくれる先生は良心的な先生で、自費診療の先生は金儲け主義だという論調の書き込みを見かけますが、矯正歯科診療においては全く当てはまりません。
厚生労働大臣が指定する疾患が元で、矯正歯科治療を必要とする場合は保険適用になります。私も開業する前は担当していましたが、その地域のセンター的な施設(大学病院・開業医をもちろん含みます)で担当するのが、個人的には望ましいと考えます。
「安い矯正」、「矯正歯科の適正料金・適正価格」、「矯正歯科・安い」などの検索ワードが多く見られるようですが、何をして安いというかでしょうか。
健康保険の基準でいくと、ざっくりと100万円程が診療報酬となります。保険の基準をそのまま適用しても、10割負担となると100万円、自由診療ですからそれに消費税がかかります。ここがひとつの出発点になると思います。
一度に100万円かかる訳ではありませんので、誤解のないようにお願いします。
ちなみに入江クリニックでは、5歳の方の場合5万円+消費税で治療開始ができます。
国立大学歯学部附属病院矯正歯科の料金と大学病院矯正歯科の医療技術がひとつの基準として考えてよいかもしれません。
矯正歯科医同士がはじめまして・・・と挨拶を交わす時に、「先生はどこでトレーニングされましたか?」と会話がよく出てきます。決して出身大学を聞くわけではありません。歯学部卒業の時点では、全く何もできませんので、その後上級医の指導・監督の下、矯正歯科治療の研鑽を積むことになります。一定のトレーニングを経ないと矯正歯科診療はできません。
いくら医師免許を所持していても、トレーニングを受けなければ、全てのドクターが心臓移植ができないのと同じです。
うまく表現できませんでしたが、矯正歯科の料金にまつわる話でした。
投稿日:2016年10月12日 (Comment : 0)
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